だれもが一度は聞いたことがあるだろうが「会社はトップの器以上には大きくならない」アポア店舗リフォーム設計施工 三重県津市

器とは何か
だれもが一度は聞いたことがあるだろうが「会社はトップの器以上には大きくならない」とよく言われる。企業経営を語る上で。欠かせない一言である。なぜそのように言われるのだろうか。まず、器について考えてみよう。器とは「どれだけ先を想えるか」「どれだけ今を想えるか」で決まるのではないかと考える。
自分のことしか考えられない人は、将来を想えても器はゼロに等しい。また。多くの人のことを想えても、目先しか想えなければやはり器はゼロに等しい。
器は大きくなるか?その問いにたいしては、「大きくなる」と答えたい。経営者らしき人のブログに「ギブ&ギブには、なかなかなれない」と書かれていた。その中で「人はテイク&テイクから始まり、テイク&ギブ、それを卒業するとギブ&テイクとなり、最も高い価値はギブ&ギブだ」と提案していた。幼いころは、大多数がテイク&テイクであり、物心が付き始めるとテイク&ギブとなって、徐々にギブ&テイクを身につける。経営創業者のある人は「与えて与えて与え続けることが大いなる得」と言っている。ギブ&ギブができる人間といえば親だろう。親の子供に対する愛情である。要は子を愛するように、どれだけの人に愛情を注げるかということだ。この想いは顧客創造につながり、成長戦略を構築する上で基本的な考え方になる。松下幸之助は、水道の蛇口をひねれば誰でも水が飲めるように、スイッチを入れればだれもが簡単に電気の明るさが得られる豊かな暮らしができる社会を実現したいと考えていたという。崇高な使命感の確立こそ器を大きくする大一歩と言える。また、成功経営の四つのションとして「ビジョン、パッション、デシジョン、アクション」を提唱した。志である夢(ビジョン)とそれを続ける情熱(パッション)が器を大きくするのではないだろうかと考える。
ある瓦製造販売・施工会社の社長は、親から事業を継承して10年ほどたったときに、「何のためにこんなに苦労するのか」「人や金を使い、絶え間なく苦労が続くことが自分にとって幸せなのか」と考えたという。そのときに、「この事業は自分だけのためではない。社会のためにある」と気づき、瓦を多くの人に理解してもらおうと決心した。業界の発展なくして自社の発展もないため、業界が発展するようにと自費で瓦会館を建設した。これがキッカケで会社はさらに発展し、今では県内ナンバーワンの企業に成長した。
もう一つの器を決める要素は、どれだけ先を想えるかという点である。会社はゴーイングコンサーン(ゴールのない駅伝競走)であり、自分の代だけよければいいというものでない。先々まで想える力が求められる。創業当時は自分のことで精一杯だったのが、徐々に余裕が生まれて周囲ことや先のことを考えるようになる。そうなった時に、自分の方向を決めて環境に適応しつつ生きていくことが必要になる。これがビジョン経営の確立につながる。ビジョン経営とは、ビジョンを描くのではなく、ビジョンを創る経営者である。描くのはだれでもできるが、どのように実現するか具体化し、マネジメントすることが重要になる。中小企業の創業者は、現在から将来を見る習性からなかなか脱皮できない。しかし、ビジョン経営を実現するには、「ビジョンー戦略―戦術―戦闘、年―四半期―月次―週間ー日、会社―部門-チームー個人」へとプレーダウンし、戦略思考をベースとしたマネジメント
を行わなければならない。
社員は自分の器以上の仕事はできない
企業を成長するには、社員が今まで以上の仕事をすることが必要だ。そのためには、今まで以上に仕事ができる人材を育てなければならない。トップの器と同様で、社員は自分の器以上の仕事はできない。まずは、社員の器を大きくしなければならない。
社員の器を広げるには「先を想う力」と「今を想う力」を養う必要がある。自分のことだけでなく、周囲の関係者(仕入先、得意先、同僚、部門など)のことを考える人材に変えなければならない。自分で考えない指示まち人材から、自ら仕事を創造して言われなくても進んで仕事をする人材、人より一歩先が創造できる人材に変わると、社員の器は広がったと言える。
社員育成の根本的な指導法は「基本」の徹底に尽きる。基本とは、当たり前のことを、当たり前にできること。当たり前の事とは、人間社会でうまくやっていくノウハウである。「あいさつ」「掃除」「報告、連絡、相談」などといったことだ。その本質的な狙いは、「相手に対する思いやりの醸成」にある。相手を顧客に置き換えると「顧客に対する思いやりの醸成」となる。顧客に対する思いやりが醸成されると、仕事が変わる。真に顧客のため行う仕事にかわり、生きた仕事をする集団へと生まれ変わらされるのである。それが、おのずと業績に反映されるのである。
A社は、「凡事徹底のしおり」を作成し、社員に熟読させるとともに、凡事の徹底委員会を毎月1回開催して、推進、徹底している。この企業はバブルが崩壊してから15年間、増収増益を続けている。小売業大手の創業者は、毎週の店長会議を数十年間継続している。その議事録をもとに創業者のコメントを数年分収集したジャーナリストから聞いた話しだが、毎週言っている言葉は、「クリンリネス」「フレンドリー」「品揃え」のほか、数種類しかなかったという。まさに当たり前のことの徹底にトップが進んで取り組んだことが、企業を大きく育てた秘訣とも言える。基本の徹底とは、単に基本を徹底するだけでなく、業績の基盤づくりであると教えられるエピソードである。
トヨタ自動車の社員に「あなたは何をしに会社に行っているのですか」と聞いたところ、「改善に行っている」という返答だったという。これこそ生きた仕事をする集団の姿勢ではないだろうか。それは「相手を想う器にほかならない。
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